"入谷"

 <"吉田橋のうどんや" 発見>

 「店の名前はよぅわからんけど、あの辺りにうどんやがあったはず」という友人からの例によって不確実な情報を頼りに、二人で友人のM菱Pジェロに乗って探しに出かけたある日のお昼。

 「確かこの道沿いだった」というところまで行ったんはええけど、はっきり言ってデカイ車なら1台しか通れんような細い道。「ほんまにこんな道沿いにうどんやがあるんか?」というのはシロウトの考え方。逆に、針の穴場通ならこういうシチュエーションこそ逆にワクワクするというもの。
 事実ワタクシ、「ええ感じやん!」と言ぅてしまいましたから...。(^^;

 道の入り口付近にうどんやのカンバンが立っとって「直進50m 南進300m」とか書いてあったんで「それとちゃうか?」と友人に聞いたら「ちがう。けど絶対この道沿いや!」と言うんで、そのまま直進しました。まぁ、立て看板出すようなうどんやにはハナから興味ないんですが...。(^^;
 んで まっすぐ行ったんやけど、うどんやはおろか、古い民家ばっかり。しかも、そんな狭い道やから大して長いはずもなく、もう道が終わりかけた頃、右を見ていた私の目に "いりたに" という文字...。 反射的に「ここや!」と声が出た。

 そら分からんわ...カンバンどころか のれんみたいなもんすらなく、壁に "いりたに" ゆうて書いた板を貼ってあるだけなんやから。しかも、その周りにある他のカンバンと混ざって分かりにくいこと...。
 それに加えて、ちょっとこれはよぅ覚えてないんやけど、カンバンに「うどん」の文字がなかったような気がする。表札やないねんから。(^^; それにしても、ワタシが "いりたに" ゆー名前のうどんやがあるんをあの本で読んでなかったら、マジで気付かんかったかも知れん。
 ま、「浪花友あれ」(>そんな番組もありました)見つけたわけさ。

 その道が終わったところで道がTの字になって川に突き当たる。突き当たった道の左前方には橋が掛かっとる。 「ひょっとして、ここが あの "吉田橋のうどんや" ちゃうかぁ?!」
 …そのとおりでした。吉田橋のうどんやが "いりたに" だったことは、さっきの「板きれ」を見るまではすっかり忘れていましたが...。(^^;
 「恐るべき…」の第1巻を持たれている方はP81を開いていただきたい。(前々から思いよったんやけど、あの本の挿し絵は写真を元にわざと手書きにしてあるんでしょね) ほんで、P81の挿し絵の右の方にある窓と店の入口の間にあるんが、多分上記の「表札」なんやと推測します。(>細かいなぁ)

 でまぁ、本に書いてあったとおり川沿いに路上駐車して(道幅は案外広い)、店であろう方角へ歩いて行ったら、これまた本に書いてあったとおり「爪楊枝をシーシーやりながら」サラリーマン風のおっさんが向こうから歩いてくるでは内科・外科・小児科。(^^;
 ひょっとして、あのおっさんは本に書かれてた人かもしれん。(んなことはないか) ま、そんなことはええとして、とにかく店に入ったわけです。

 店に入った瞬間、システムが全く把握出来んかった。

 メニューらしきものは壁に貼ってある「大 200円 小 150円」ゆーて縦書きで書かれた赤い縁取りのついた1枚の小さい紙のみ。オプション一切なし。愛想のないおばちゃんが二人、中で仕事しよる。
 けど 突っ立っとくわけにもいかんので、他のお客さんに習って大を注文。「ぬくめるんな? そのままな?」と聞かれてとっさに「あ、そのまま」とこたえるんが精一杯。システムが分からんというだけでえらいキンチョーしてもうた。
 改めて、うどんやにおけるシステムの大事さを痛感したわけです(ってそんな大層なもんかい!)。どんぶりに入った 恐らく2玉だろううどんを受け取って、ねぎをかけ、カウンターの中にあるタンクから自分でだしを入れた、ほんまの「すうどん」。あ、お金はどんぶりと引き替えに渡します。 しかし なんぼうどんゆーても、200円は安いよな。

 本と同じことばっかりで申し訳ないけど、ほんま45秒一気という感じで食いました。ぬるいんで食べやすかったこともあるけど、正直ゆって「もの足りんなぁ...」という食後感。(そら、うどん2玉だけやもん)
 食べよる時に、他のお客さんが注文しよんを聞いて「あ、俺もそうしたらよかった!」思たことは「そのまま」で頼んで、だしかけんと醤油かけて食うやり方。「テーブルの上の味の素はそういう意味だったんか...」とその時気付いたんやけど、時既に遅し。
 それにしても、大と小しかなかったんで「大」としか言えんかったけど「もう1玉ぐらいは食いたかった」ゆんが正直な感想。

 で、気になるお味ですが、だしは甘みのないスッキリいりこだし(やと思う)、めんは細めでちょい角があって、コシはまあまあ。…とか言ぅても、味わう余裕を与えんうどんなんで、その評価も怪しいモンです。(^^;
 席数は、本の通り15ぐらい。テーブルは小さいんが2つと長いんが1つ。イスはもちろん丸イスね、まん中に穴の空いた。
 食べ終わったら、箸はカウンターの足元においてある段ボール箱の中、どんぶりはカウンター越しにおばちゃんに返却。心なしか、どんぶりを返す時におばちゃんに「いぶかしそうな」目で見られた気がしたんは、気のせいやろか...?

 とにかく、ええイミで愛想のない店でした。 ことさら飾り気のない...。


<その後>

 その後、何年かして この店は閉店してしまいました。
残念な一方、「あん時に行っとってよかった」と思う今日この頃のワタシです...。




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