"うどん棒"

 <一般店の逆襲>

 朝から降り出した雨は時折強く、お昼が来ても降っていた。
で、どこへ行こうということになり、とにかく近場で、駐車場があって、行列がなく、行ったことのないうどんやがええなぁと考えた結果、思いついたのが "うどん棒" であった。本店はご存じのとおり、繁華街の亀井町にある(といっても、行ったことはない)のであるが、2〜3年前に今里店が出来たのだ。しかし いわゆる「一般店」で、1人ではちょっと入れないまま今日に至る、という感じだったのである。

 20台ほどは入りそうな駐車場には既に10台余りの車が停まっていた。勿論、行列などはなく、入り口には「本日のタイムランチ」なるものが置いてあった。「う〜ん、正に一般店」因みに内容は白身魚のフライと、ミニうどん、ごはん etc...で650円であった。店に入って、すばやくシステムを探る...といってもここは一般店、空いている席を探して座るだけでよいのであった。当然、お昼時で、店のおばちゃんたちは忙しそうに動き回っている。注文を告げてない状態で、いすに座っているのはどうも落ち着かん。「ひょっとして 自分で言わなあかんのとちゃうか」とさえ思えてくる。製麺所慣れした身の悲しい性(たいそうな)である。
間がもたんので、きょろきょろしてて気が付いたのだが、若いきれいなカッコ*したねえちゃんが結構多いのである。流石、一般店...。( * … キレイなんは、あくまでも「格好」です。念のため)(^^;

 少々緊張してたせいか、テーブルの端っこに立ててあった二つ折りのおしながきに気が付かず「壁に全然おしながき貼ってないなあ」と本気で思っていた。
ここんとこおしながきがある店なんて行ってないもんなあ...。だけん、やっとおばちゃんがお茶を持って来てくれて「何にしますか?」言われても焦るばかり。同行者はタイムランチと決めていたらしく、難なく注文。そこでやっとメニューに気付いたけど、たいして見もせずに、多分あるだろう「ぶっかけ」を注文。「種類はあるんですか?」と聞いたけど、特にないとのこと。大はできるというので当然そうしてもらう。いなりが190円でちと高いかなと思ったけど、去りかけたおばちゃんに追加注文。どこ行ってもついいなりを食うてしまうんである。壁には「当店は、注文が通ってからゆであげますので、少々時間がかかります云々・・・」ということが書かれた紙が貼ってある。これもまた一般店であった。

 意に反して、そのぶっかけはすぐ出てきた。
さすがにちょっとゴーカな感じであった。ガラスのボール状の器に入ったそれは、錦糸卵あり〜の、きざんだ揚げあり〜の、きざみ海苔あり〜の...。それに紅葉おろしとおろししょうががのっている。そして、それら大量の具の端っこの方に見え隠れする麺を見て驚愕せざるを得なかった。一瞬、そうめんかと思うような(ちょっと大袈裟か?!)、細い麺なのだ!今までこんな細いうどんは見たことがない。しかもなめらかでつやつや。見た目だけならそう、 "あたりや" の正反対ともいえる いかにも上品そうな麺だ。おねえちゃんの客が多いのも、頷けるというもの。
タイムの方はまだ来そうにもないので、先に食うことにする。
こちとら1分1秒が勝負なんでぃっ!(アンタ誰やねんな)

 上品にさじですくった七味をかけて、ささっとまぜてひとくち...「おいしゅうございますぅ〜!!」言葉までかわって来るのである。"あたりや" が「ズ・ズっ」なら、こっちは「つるっ」という感じ。およそ麺類を食すのに「つるつる」という擬音はもはや死語だと思っていたのであるが、それがぴったりあてはまるのだ。このインパクト(?)のある細い麺にしてこのコシ、流れるようなのど越し...麺は上級品まちがいなしです! どいやボクよ、行ってみとぅなったやろが!?

 が...「麺は」なのである。
2口3口と食べ進むにつれ、何か甘いなぁ...と感じ始めた。だしをすすってみる。そんなに甘くはない。が・・・しつこいというか、くどいというか何かいやに濃い味。塩辛いんでもない。ぶっかけやから、少々濃いのは当たり前なのであるが、とにかく飽きの来そうな味やなあと感じた。これが一般人向けなら、私は一般人失格やな。
それで 甘さの正体なのであるが、揚げを食った時に、こいつが犯人であることが判明した。
異常に甘い...5切れほどの揚げが、まぜたことによって、麺全体にその勢力を拡大し、一口食べるごとに後味に残るのだ。そして、前述のくどいだし。これらのダブルパンチをまともに受けながらも、絶妙の麺に何とか支えられてのフィニッシュであった。
ところが、いなりが出て来ん。すっかり忘れられていたのであった。そして、やっと出て来たいなりは「今まで誉めたん返せ!」ゆうぐらい、ふぞろいで雑な仕事。しかも、1つは揚げに穴があいとる。それが1つ 95円である。いつも行くような店で、120円(2つ)であれば、穴も十分愛嬌になるんやろうけど...。
参考までに、麺は特に「ぶっかけ用」というのではなく、全部があの細い麺だった。値段ですが、ぶっかけは460円。ワタシは750円払ろたけん、750-460-190=100 ということで、大は100円増しらしい。今度は熱いんも食べてみなアカンな。あの麺がどう変わるか、気になるところです。

 その後熱いんも食べてみましたが、麺が細い分あったまりやすいのか、確実にコシがなくなっています。それにしても、あの濃い味のだしは個人的にはあまり好きじゃないです。


<その後>

 値段が高いということもあって、その後はあんまり行ってませんでした。

 ところが、こないだ ホンマにひっさしぶりに行って「タイムランチ」を食うたところ、他のもんはまぁええとして 肝心のうどんがさっぱりだった。あれはちょっと考え直さんといかんのとちゃいますか?




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