"穴吹"

 <ずるずるなんじゃ〜!>

 ワタクシ、今日はこともあろうか、財布を家に忘れて来てしまいました。カードもないし、免許証もない状態。机の中に100円玉が5枚あったのは不幸中の幸いでした。
 それでもやっぱり不安なので、お昼前 友人に「新規の店教えるけん1,000円かして!」というわけで交渉成立。12時が来るのを待って車で出掛けました。

 香川インテリヂェントパアクからバーっと西へ行って、1つ目の信号のある交差点をビャーっと左へ曲がり、100メートル(?)ぐらい走って信号のない細い道を右折。民家とたんぼの中をトコトコ走った辺りでワタシの記憶が途切れた...。(^^;
「あっいかん、これ以上覚えてないわ」「おっさん おっさん!」という、会話をしつつ、通りすがりにあった小さい店で、おばちゃんに「ここら辺に "穴吹" ゆううどんやがあるゆうて聞いたんやけど...」というと、西の方を指さして「あそこに黒い服来た人が歩きよるやろ、あの家や」と教えてくれた。
 見ると、なるほど何人かの人がたんぼの中にある民家(!?)から出てきよる。おばちゃんにお礼を言うのもそこそこに「あそこじゃ!」と車を進めたんはええけど、店まで行く最後の 20mぐらいは、ほんまにあぜ道を舗装したような車の幅しかないシビアな道だった。それでも友人はM菱Pジェロで何とか行ってくれましたがな。幸い、店(家)の前にちょっとだけ駐車スペースがあったんで一安心。

 細長いプレハブ風の建物の中には2〜3人の先客がおる。
 緊張しながらサッシの戸を開けていざ中へ...。なるほど、本に書いてあった細長い8人掛けほどのテーブルが置いてあり、奥が製麺所らしい。製麺所とテーブルがある所の境(カウンターというにはつらいモンがある)でこっち向いとる人がご主人らしい。
 注文しようとして、おっちゃんに近付いて行ったとき、奥の製麺所付近からかなりの人の気配。4〜5人はおったように思う。
「おお!あの人らがしゃがんで食べる常連さんやな」と変なことに感激しつつ、無難な頼み方の代名詞「2玉」を告げる。実はワタクシ、結構舞い上がっていてメニューなんか全然見てない、というよりはじめっから探してなかったのだ。おっちゃんに「つめたいんな?」と聞かれてもただうなずくのみだった。「あとの2人も同んなじでえんな?」と言われてなすがままかと思たら、友人が「オレ3玉」と自己主張した。

 ふと見ると、ガラスの陳列ケースにいなりと巻きずしがある。
 うどんやで久々のオプションとしていなり(2個)をチョイス。3個のんもあった。お勘定はどうやら自己申告の後払いらしいことを先客より察知、おっちゃんから麺だけがはいったどんぶりを受け取る。
 それは なかなか艶があって「いけそうな麺」だった。ちょっと細めで好みのタイプ!本には太めと書いとったけど、そんなんはみんな感覚の違いがあるから無視。「一見さん」なので、素直にテーブル席に座る。
 さてだしをかけようかなと...テーブルの上を見渡すと左手にお玉の入った大きなアルミ鍋。「なるほど、つめたいだしやな」テーブルの中央にキッチンペーパーのかかった皿がある。「何かなー?」思てたら、奥の方から常連らしきおっちゃんが、どこにあったんかアイストング(としか言えん)を持って現れ、キッチンペーパーをひょいとめくってちくわの磯部あげを取って、また自らの「ねぐら」へ戻って行った。
「そっか、あげもん類のオプションはこんなとこにあったんか」と思うが、睡眠不足と酒の抜けきっていない三十路男が、その時油モンに手を出す勇気はなかった...。(^^;

 ひと通り観察を終え、この前の "いりたに" のことが頭にあったのか、なんとなくしょうゆをかけて(ほんまにちょっとだけ)一口...。
 ...なるほど、本に書いてあったとおり "ズルズル" や。麺はやわらかめ、でもそれはコシがないゆんとはちがう。麺が細めなのでそんな強烈なコシゆう感じではないが、それでもしっかりと麺が "できたて" を主張してきやがる。角はあんまりたってない。噛み切る時「お、この弾力はっっ!」"大圓" の麺に近いなかなかの伸び。
 2〜3口食べて今度はいなり。あげはパサッとしていていまひとつやけど、寿司飯がええ味だった。ワタクシ、いなりはめしの方を上に向けて半分づつ食べるくせがあります...って、そんなことはどうでもええか。

 半分ぐらい食ぅたところでやっぱりだしが気になるんよ、これが。
 そう思いながらまた2〜3口食べたけどがまんしきれんようになってとうとう鍋のふたを開けて、お玉に1杯分だけ丼に取ってすすってみた。「おぉ! これは純度の高い正真正銘のいりこだし!!」だしがうまいんである。
 でも、先のしょうゆとまざってやっぱりちょっと塩辛い...。そこで一計を案じたワタクシは残されたうどんを一気に食べた。もう1個のいなりには目もくれず一気に食べた。勿論自分でしょうゆを入れたちょっと塩辛いだしも全部飲んだ。
 その時思ったのだが、ネギの切り方が少々荒い。欲をいうと、もう少し細かく切ってほしかった。あの "わら家" の「素晴らしいねぎ」を体験して以来、今まで気にもしてなかったねぎが気になってしまうのはワタクシだけではあるまいとせんめんき。(トシがバレる?!)(^^;
 とにかく、うどんもだしもねぎも全部食ぅてしもたんである。

 そこで 満を持してもう一回鍋のふたを開け、今度はお玉に半分ぐらいだしをとって、改めて「そのままの味」を体験してみる...。
 やっぱりうまい! "久保" みたいな透き通った「すっきり系」ではなく、色の濃い しっかりとした味のいりこだしです。本には好みの分かれるだしと書いてあったけど、ワタクシ、ここのだしのファンになりました。
 うまいだしをすすりながら、1つ残してあったいなりを半分づつ食べた。久しぶりの満足感! ハマってしまいました。「これはちょくちょく来なアカンな」と思わざるを得ませんでした。
 余談ですが、水が飲みたかったのにウォータークーラーの周りにはグラスが見あたらず、あきらめてしまいました。今度は絶対水飲んでやる!
 それからコンビニで売っとるようなおにぎりのオプションがあった。1個づつ皿に乗っとる。あんなオプションは初めて見た。とにかく、オプション類が狭い店の中の至るところに散らばっとんである。 まさに「宝探し」状態!!
 最後に、お勘定は320円だった…ってことは、いなり120円か? これは安い!(うどんは当然、オプション類がほんまに安い!)


<2回目>

 休みだった昨日のお昼前、一人でバイクにて再び "穴吹" へ行って来ました。もう全然迷うこともなく直行です。
 11:45ぐらいに着いて、やっぱりつめたいんの大といなり(2個)を注文。で、前述の水であるが、この前はテーブルの上に湯飲みがぎょうさんおいてあったのに気付かんかったようだ。ウォータークーラーからは予想に反して麦茶が出てきたが...。(^^;
 客は家族連れが3人と、常連らしきおっちゃんが例のコンビニおにぎりをバリバリ食いよった。あっという間に食べ終えて、前の常連おっちゃんに習って奥の洗い場にどんぶり等を返して、320円払って外に出た。
 ヘルメットをかぶっていると 車が1台やって来た。帰りのあぜ道でも、また1台車とすれ違った。日曜日のお昼時、しかもあのシチュエーションで結構はやっているようであった。
 麺はもちろん「ずるずるなんじゃ〜! なんぼでも食えるんじゃ〜!! うまいんじゃ〜!!!」(3巻P75参照)であったことはいうまでもない...。


<その後1>

 仕事場からは近いんやけどなかなか車では行きづらい...ということもあって、最近は行ってません。けど 一時期に比べて 客はちょっと減ったかな、という感じ。というか、あの時期が「異常」だったんやろけど...。

 店の前まで車で入って行く自信のない人は、北側の広い(?)道に路上駐車して歩いて行くことをお勧めします。


<その後2>(2004/05/11)

 こないだ久し振りに行ったら、例の「たけのこだし」があった。
「ラッキー!」思て、迷わずそれをかけたんやけど、味がかなり薄かった。
試しに、帰り際にフツーのだしを一口飲んでみて後悔したけど時既に遅し...。(^^;
しかし、今時コロッケが40円なんは、今更ながら申し訳ない気ぃすらした。

 


<その後3>(2005/02/18)

 考えてみたら、もう長いこと行ってないな。
仕事場から車で5分の距離なんやけどの...。(^^;
けど、さっき読んみょったら 何となく行きたぁなってきた。 気が向いたら また行こや。




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